こんにちは、スタッフ野田です。

「HAKU(ハク)キュ-」、このブログを読んでいる方はご存知でしょうか。
新手のアメリカン・カスタム? 
いえいえ、日本人が日本の工房で作っている、100% Made in Japan のキューです。
でも現物を目にしたことのある方はおそらくごくわずかでしょう。
それもそのはず、年間15本ほどしか製作されない超希少キューなのです。
私もこれまで数本しか現物を見たことがありません。
どのキューも精緻で手の込んだデザインで製作されており、メーカー在庫はもちろんありません。注文品をつくるだけで手いっぱいで、在庫分を作る余裕はほとんどないのです。

今回、このHAKUキューの工房を訪れる機会を得ることができ、そして最新作を1本入手することができました。これはイベント展示用に特別に作られた1本です。
近日中に販売を開始いたしますが、ここでこのキューの素晴らしさを一人でも多くの方に知っていただきたいと思います。

まずはHAKUキューの工房がある場所をご紹介しましょう。

茨城県牛久市にある、「NINE」というお店です。
この中にHAKUキューの工房があります。
工房は店内とは仕切られた場所にあり、残念ながら工房の内部は企業秘密でお見せできません。
それではHAKUキューについてご紹介していきましょう。

製作者の高橋夫妻です。手にしているのが今回ご紹介するキューです。

デザインは奥さん、キューの製作はご主人が行なっています。

これは10月に開催されたTOCNというキューメーカー・コレクターのイベントに展示されたHAKUキューです。


左端が今回のキューです。
他のキューはすべて注文製作品で、一般に販売されるものではありません。
こんなに複雑なデザインのキューをたった二人で製作しているのですから製作本数が少なくなるのも当然です。

ではこのキューの詳細をご覧いただきましょう。

ちょっと照明が暗くて申し訳ないのですが、デザインの精緻さはお判りいただけると思います。
フォアアームとバットスリーブのアップです。

これはフルールドリス(Fleur De Lis フランス語でユリを意味します)というシリーズの1つです。
ユリの紋章を縦横につないでキューを一周するデザインです。
杢目(もくめ)が全く見えないほど真っ黒な黒檀にスネークウッドの浮きハギ、ジュマとピンクアイボリーのインレイ、そしてシルバーのラインが入れられた、HAKUキューの中でもハイエンドに位置するモデルの1つです。
このキューのデザイン設計図です。

螺旋状の曲線が描かれていますね。これは各パーツの大きさを黄金比と呼ばれる最も美しく見える比率にするためのものです。
このように緻密な計算に基づいてデザインが作られています。
使用されたフルールドリスのインレイ材料を見せていただきました。

これをダイヤ型のインレイと組み合わせてこの秀麗なデザインが作られています。
小さくて細くて先端が尖っているので、インレイ作業中に折れてしまい何度もやり直すことがあるそうです。

これはハギに使用するスネークウッドの板材です。

スネークウッドは高価で、キュー本体として使えない部分が多いですが、その美しい杢目はとても人気があります。
そのため、この独特の杢目がよく出ている部分しかキューに使うことはできず、多くの部分が使われずに捨てられてしまいます。

木材の保管庫を見せていただいたので、銘木の数々をご覧ください。

これは黒檀(ガブーン・エボニー)です。炭のように真っ黒です。

ものすごい鳥眼杢(ちょうがんもく)が出ているバーズアイメイプルの材料もありました。
バーズアイが好きな方には堪りませんね。

スネークウッドの角材が何本もありますが、その中には独特の杢目が表面に出ていない部分もあり、これは前述の通りゴミ箱行きの運命です。木材を購入する際に、現物を確認して購入できるものは良いのですが、それができない場合は、ギャンブルになってしまうのです。
この写真はスーパービリヤードエキスポに毎年出展する木材を販売するブースですが、現物が確認できるので、多くのキューメーカーたちが買い求めに訪れます。

シャフト材も同様で、1本のキューの陰には廃棄された何本もの木材があり、高品質のキューが高価になる理由はデザインだけではないのです。

さて、HAKUキューはデザインの精緻さもさることながら、製作者のこだわりも半端ではありません。
まずHAKUキューはスプライス構造ではなく、ジナやタッドと同様のインレイハギを採用しています。
これはデザインの自由度という理由の他に、フォアアームのベース材に深い切り込みを入れると強度が弱くなり性質が変化してしまう可能性が高まるという考えに基づいています。(これについての詳しい説明はいずれ別のブログで紹介します)
次にリングワークについてですが、多くのキューメーカーがいわゆる輪切りにしたリング材を使用しますが、HAKUキューはこれをできるだけインレイで入れています。
これはジョイント部分のリングワークですが、ダイヤとオーバル(楕円)のインレイで構成されているのが分かります。

キューの横にある小さな部品がリングに使われているシルバー(本物の銀です)のオーバルです。
円形(ドット)にすれば簡単なのですが、それをわざわざ楕円にしているのもこだわりのひとつです。
輪切りリングを使わない理由ですが、これは接合部分、つまりキューを分断する部分をなるべく少なくするためです。
リングを1枚挟み込めばその両側に接合部分ができます。接合部分が少ないほど良いのは当然で、そのためにリングをインレイで入れているわけです。
塗装はキューの特性を活かすために、丈夫だけれど極度に硬くはないHAKUキュー用オリジナルブレンドの塗料を使用しています。
また、グリップにはベジタブルタンニングしたイタリア産の高品質な牛革を使用しています。
次にバランスのお話です。HAKUキューのバランスポイントはキュー尻から49~50cmのところにあり、前バランスのキューとなっています。これは製作者である高橋氏自身が最も振りやすいバランスを求めた結果です。
シャフトにもこだわりがあり、ノーマルシャフト構造ですが、個々のバットに合わせて、最適な重量、テーパー調整をして、内側の撞点なら見越は少なくなるように作られています。端の撞点での見越はそれなりにあり、バリエーションの多い手球の動きをだすことが可能となっております。
まだ他にもあるのですが、これほどこだわりが多いキューはそうはありません。

高橋氏に「HAKU」という名前の由来を聞いてみました。
「私の下の名前に『博』という字があることが理由の1つ。そして白紙の状態から全く新しいものを生み出すという意味で、白=HAKUをイメージしました。」
キュー尻にある折り鶴のロゴについても聞いてみました。
「自分たちの作品を世界のいろいろな方にお使いいただきたい、という気持ちをこめて、遠く飛んでいける“鳥”をシンボルにしたいと考えました。また、どこから飛んできたかわかるよう、日本の伝統的な”折り鶴”にしました。」
HAKUキューのロゴワッペンです。

ロゴデザインもオシャレでいいですね。
これは非売品で、キューを購入した方のみにプレゼントされるものです。

精緻なデザインと卓越した技術、そして製作者のこだわりが結実したHAKUキュー、この1本を逃したら、もう次はいつ入荷するか分かりません。
ジョイントキャップとオーナーであることを証明するロゴワッペン、そしてスタイリッシュなLegendコレクションケースが付属しています。

           Legendケースはこちら 

近日中に発売を開始しますのでお楽しみに!

このキューの発売について、ご案内をお送りします。
ご希望の方は、以下フォームに必要事項記載の上、送信してください。

エラー: コンタクトフォームが見つかりません。

あなたのキューをMy Favorite Cueに掲載しませんか?

「My Favorite Cues」ページでは、皆様のお気に入りキューを紹介するページです。

自慢のマイキューをこちらのページに掲載ご希望の方は、キューショップジャパンLINEで直接写真を添付送信ください。キューショップLINEはこちら
必要な写真は以下の4点となっております。

①全体 ②フォアアーム ③バットスリーブ ④ジョイント

※写真角度などは紹介されているキューをご参照ください。
※お客様のこだわりや自慢のエピソードなどもございましたら、是非メッセージご記入をお願い致します。

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