2022年7月某日、スタッフ野田は高品質なキューを作ることで定評のある早川工房を訪問してきました。
早川キューといえば、ストレートのキューが多いという印象があります。
これは銘木自体が持つ杢目の美しさを引き出すことに重点を置くというポリシーからであり、ハギやインレイなどはあっても必要最小限であり、過度な装飾とならないように配慮されています。
当然ながら原材料となる銘木の選定には厳しいものがあり、さらにスタビライズウッドと呼ばれる銘木に樹脂をしみ込ませた材料を使用することにより美しさを際立たせると共に独特の風合いを醸し出すといった他のキューメーカーでは見られないものも製作しています。

最初に製作者である早川氏について、ご紹介しましょう。

早川キューの製作に携わる職人さんたちです。
中央が創設者の早川徹(はやかわ とおる)氏です。
現在は写真の3人で製作を行なっているのですが、国内外から多くの注文が来るために人手が足りないそうです。
「オレが最高のキューを作ってやる!」という情熱のある方、ぜひ早川工房までご連絡ください。
早川氏は14歳(中学2年)の時に通学路沿いにあったビリヤード場で初めてビリヤードを経験します。
そしてどっぷりビリヤードの沼にはまり、岡山国体で優勝したり、アマチュアプレーヤーとして数々の実績を持つに至ります。
今年のスーパービリヤードエキスポ会場で行われたトーナメントにも参戦しており、ナインボールのオープン戦ではジェイソン・ショウにしてやられたそうですが、同会場で行われた別のトーナメントでは賞金をゲットしており、その凄腕ぶりは健在のようです。
キューメーカー(特にカスタムキューメーカー)はプレーヤーとしても相当な腕前の人が多く、それは自分の腕に合う優れたキューを製作したいという思いを具現化したためなのです。
優れたキューを作るためには、優れているかどうかを自分で判断できなければ話になりません。
さて、プレーヤーとして名が知れた早川氏は33歳の時にキューの革巻き交換を始めます。
これはハンドバッグ用の革材料が大量に入手できたことがきっかけだったそうですが、その革巻きの仕上がりの良さと作業の早さが評判になって注文が殺到し、1日に20本も仕上げた時もあったそうです。そして「早川工房」という名称はその時から使い始めています。
この時に革巻きだけでなく、糸巻交換や先角などの修理の要望も来るようになり、それに応えるべく35歳の時に旋盤を入手してグリップ巻き以外の修理も手掛け始めました。
そして色々なキューの修理作業を行なう中でその構造や製作方法などを知り、自分でもキューが作れるという確信を抱くようになります。
修理の仕事が忙しくてオリジナルブランドのキュー製作にかかるまでに時間を要したのですが、42~43歳ころにキュー製作を開始しました。
早川氏は現在55歳ですので、キューメーカーとしては12年ほどの実績となりますが、その前に8年ほどの修理の経験もあるのでベテランキューメーカーと言って差し支えないでしょう。

それでは工房をご紹介しましょう。
まずは工房の外観です。

工房は滋賀県栗東市の閑静な住宅街にあります。
3階建てのビルで、1階が工房、3階が銘木などの原材料保管場所となっており、2階は「ソウルウッド」というビリヤード場になっていますが、基本的に予約客のみの利用となっており、出来上がったキューを試し撞きしたりするショールーム的な役割が大きいようです。
ちなみに近くには栗東トレーニングセンターという競走馬のトレーニングセンターがあります。

このブログのトップに早川工房のロゴマーク付きジョイントキャップを掲載していますが、蹄鉄の中にイニシャルの「H」を描いているロゴデザインになっています。
早川氏に栗東トレセンの存在がロゴデザインに関係しているかどうか聞いてみたところ、それもあるけれど生まれが午(ウマ)年であり、競走馬のように仕事が早い(早川だけに笑)ことをイメージして作ったとのことでした。

工房に入ると、まず迎えてくれたのは看板犬(?)のミニチュアシュナウザーでした。

2頭いたのですがどちらも人懐っこく、スタッフ野田はしばし訪問目的を忘れて戯れました。(笑)
これはスタッフ野田の印象ですが、キューメーカーは犬を飼っていることが多いと思います。
ジナキューはロットワイラー(かつてはドーベルマン)、サウスウエストはボストンテリア、マクウォーターはゴールデンレトリバー、ニッティはチワワ+その他2匹、そしてアダムジャパンでは秋田犬を飼っています。
さて、まずは銘木にこだわるという早川工房が持つ銘木の在庫を見せていただきましょう。

3階にある銘木材の保管ラックです。
メイプルはもちろん、黒檀やローズウッド、パープルハートなどキュー製作によく使用される
多くの種類の銘木が揃っており、染色されたものやスタビライズウッドなどもあります。

これはスタッフ野田が好きな銘木の1つ、ツーヤのバールウッドです。
バーズアイメイプルの鳥眼目を強調したような杢目をしています。
こういった角材のものは専門の木材供給会社から仕入れることが多いです。
一方、早川工房ではそれ以外の物を材料として積極的に使っています。

これはテーブルなどの家具や装飾品として使用されていたものを引き取ったものです。
こういったものには杢目が美しいものや珍しいものがあり、早川キューの特徴を引き出すのに一役買っています。
当然ながらこういった材料を使用する場合はまず角材の形に裁断する必要があります。

これは、角材の形に切り出す裁断機です。要するに電動ノコギリなのですが幅や角度を調整できるようになっており、材料を色々な形に切り出すことができます。

今回はここまで。
次回からは今回ご紹介した銘木材がどのようにキューに変わっていくかの工程をご紹介していきます。

キューショップジャパンでも早川キューの取り扱いをしております。
同じ杢目のキューは2本となく、すべてが1本物とも言える早川キューをご覧ください。

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必要な写真は以下の4点となっております。

①全体 ②フォアアーム ③バットスリーブ ④ジョイント

※写真角度などは紹介されているキューをご参照ください。
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