スタッフ野田です。
今回はルールの話をしたいと思います。
ビリヤードのルールは種目や国・地域によっていろいろな違いがありますが、ポケット・ビリヤードのルールブックとしては、BCA(アメリカビリヤード協会)が発行しているものが最も歴史があるものでしょう。
   1985年、1998年、2011年版のBCAルールブック     
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おなじみのナインボールやテンボールはもちろん、アメリカではほとんどプレーされないローテーションやボウラードも掲載されています。
また、逆に日本ではまずお目にかかれない21番までの的球を使う「Baseball」やボトルを使う「Bottle Pool」なんていうピン倒しのようなゲームもあります。
そして現在はWPAが制定しているルールが世界標準となっています。

WPAルールはこちら

ポケットビリヤードのルールに関してはWPAルールとBCAルールはほぼ同じで、日本でもこれを参考にしてNBA(日本ビリヤード協会)のルールが制定されています。

NBAルールはこちら

しかしすべてのプレーヤーがこれを熟知して、起こり得るあらゆる状況に対応できるとは限りません。
トーナメント歴の長い方は、「こんな場合はどうするんだろう?」という状況を何度か経験した事があるのではないでしょうか。
そんな対処に迷うような状況を幾つかご紹介して、ルールがどうなっているかをご紹介したいと思います。
あなたがレフリーだったらどうするか、考えてみてください。

では、第1問です。ゲームはナインボールです。
クッション際の手球を強打して1番をポケットしたら、手球がジャンプしてレール上を走り、置いてあったチョークに当たってテーブルベッド内に戻ってきました。
さあ、これはセーフ? ファール?
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まずは小手調べの簡単な問題で、答えはもちろんファールです。いわゆる「球ざわり」ですね。
ボールに身体や衣服の一部が触れることは勿論、タップとテーブルの部品以外のいかなるものも接触してはならないことになっています。手球が当たったチョークが対戦相手の置いたものであっても、ショットしたプレーヤーの責任です。
レール上に跳ね上がったボールがチョークなどに一切接触せず自然にテーブルベッドに戻った場合は勿論セーフです。
キャロムゲームではチョークをレール上に置いたままにすることはマナー違反とされていますが、ポケットでは置きっぱなしの事が多いですね。最近はマイチョークを持つ人が増え、公式の試合ではマイチョークを義務化する動きがあります。しかしトーナメントプレーヤー以外の人たちは備え付けのチョークを共用することがほとんどだと思います。
テーブルベッドに落ちたチョークに球が接触してもファールになりますので気をつけましょう。
スタッフ野田は試合でタップにチョークをつけているときに、うっかりチョークを的球の上に落としてファールをとられたことがあります。

ブレ●クショットというビリヤード漫画で、主人公の対戦相手がチョークのかけらをわざとレール上に残して、それに手球を当ててコントロールするというのがありましたが、主人公はそれに気付いた時点でファールを主張するべきだったのです。
またキ●グ・オブ・ハスラーという漫画では、ラシャの傷を利用して的球のコースを変えるというのがありましたが、ラシャはテーブルの一部なのでラシャの傷によってボールの動きが変わってもファールとはなりません。
(ただし、わざとラシャを傷付ける行為は全く別の問題です)
漫画ネタついでに、ハ●ラー・ザ・キッドという漫画の中で、主人公のライバルとなる大物ハスラーがこんなことを言っています。
「球ざわりはファールの中でもプレーヤーの不注意による最もバカバカしいものだ」
確かにそのとおりだと思います。
スタッフ野田が過去に目にした一番印象的な球ざわりは、某女子プロの「おっぱい球ざわりファール」です。テーブルに覆いかぶさるような体勢でショットしなければならないとき、女性にはこんなハンデがあるんだなと思いました。
なお、ラックシートが使用されるトーナメントでは、当たり前ですがラックシートもテーブルの部品の一部として認められています。
ブレイク時に手球の下に敷くブレイクマットは日本国内しか普及していないためかルールに規定はされていませんが、良いコンディションでプレーするために認められてよいのではないかと思います。

第2問です。ゲームは14-1で相手は残りあと1点という状況であなたはブレイクショットに失敗し、手球をスクラッチさせました。相手プレーヤーが手球をキッチン内に置いてプレー再開です。
キッチン(kitchen)とは、下図の範囲内のことです。
オープニング・ブレイクや、スクラッチ時に手球を置く位置として使われ、日本では「ヘッドライン内」・「2ポイント内」などと呼ばれています。

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相手はあと1点なのでゲーム終了は必至と思いきや、配置は下記のようになっており、狙える的球がありません。
1番がキッチン内のコーナー穴前にありますが、これを直接狙う事はルール上できず、手球を空クッションで回して1番を狙うことも難しい配置です。


ここで相手プレーヤーは手球を図の位置に置いて、マッセショットで手球を一度キッチン外に出し、そこからバックスピンで手前に戻して1番をポケットしました。
さあ、このショットは認められるでしょうか?

NBAルールによれば、「キッチン内の的球を狙う際は、手球が的球に当たる前にヘッドラインを通過しなければならない」となっており、クッションに入るかどうかについては言及されていません。したがってこれはセーフとなります。
実は昔のBCAルールでは、キッチンの外に出した後でクッションに入らなければならないという記載があったのですが現在はなくなっており、WPAルールでもそうなっています。
そのため、こんなショットもセーフとなります。
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1番はヘッドラインからわずかにキッチン側に入り込んでいるので、手球をヘッドライン通過後に当てる必要があるのですが、この場合1番を直接ヘッド側のコーナーに狙えるのです。
1番をポケットする厚みに手球が到達した時、手球はヘッドラインを越えているのでこのショットはセーフになるというわけです。
でも実際にこれをするときは、事前に相手プレーヤーとレフリーに的球の位置とルールを確認しておかないと、モメるかもしれません。
ちなみにヘッドライン上の的球は手球を直接当ててもよいことになっていますので、例えばヘッドスポットに置かれた的球(14-1ゲームなどではあり得ます)はこれを直接サイドやフット側のコーナーに狙うことができます。
なお手球はキッチン内の自由な位置に置けますが、ヘッドライン上に置くことはできません。

次回は「ルールについて その2」で、さらに難解な状況をご紹介する予定です。


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