BILL McDANIEL CUES
テネシー州に工房を持っていた故ビル・マクダニエルのキューです。
ビリヤードを含むいろいろな娯楽施設を経営する一家に生まれ、子供の頃は父親が設備のチェックをしている間、ビルはビリヤードで遊んでいました。まだ背が届かないためにビリヤード台の周りに空き箱を置いて、それに乗ってプレーしていたそうです。
凄腕のプレーヤーになったビルは自分にピッタリ合ったキューを探し求めたのですが、なかなか見つからないため、自分でそれを作ってしまおうと思うようになりました。
かのジョージ・バラブシュカにアドバイスを求めたこともあったようです。
そして縁あってティム・スクラッグスと共同でキューを作るようになり、1974年に自身のブランドを立ち上げました。
マクダニエルらしさを感じる独特のデザインのキューが多く、スタッフ野田もマクダニエルが好きで、10本以上入手したことがあります。
フォアアームです。
このマクダニエルキューはスタッフ野田の知人が所有するもので、「ジュリエット」という名前が付けられた1本ものです。これと対になる「ロミオ」というキューもあり、いずれ機会があったらご紹介したいと思っています。
基本的コンセプトはスピアヘッドでしょうか。
ハギの先端とハギの中にドットインレイを含むスピアヘッドのインレイが入っていて、非常にシャープな印象があります。
バットスリーブです。
フォアアームと対称形になったデザインです。
ハギとハギの間にシルバーのドットインレイが入っているのがわかります。
小さくて写真では見づらいのですがフォアアームにも入っており、実物を手にするとこれがキラキラ輝いて大変奇麗に見えます。
クローズアップです。
シルバーのドットインレイが、実は単純なドットではなくリングになっているのがお分かりいただけると思います。
金色のリングワークが特徴的です。
マクダニエルは単純なシルバーリングの組み合わせが多いのですが、このキューにはカーセンブロックを彷彿とさせる特殊なリングワークが施されています。
ジョイントです。
バラブシュカにアドバイスを受けたからなのでしょうか、マクダニエルのほとんどは伝統的な14山のパイロテッドジョイントです。
シャフトのカラーとジョイントカラーの下にも特徴的なドット(リング)インレイがあります。
バットキャップに刻まれたロゴマークです。
1990年代中ごろからこのMとCを組み合わせたロゴを使うようになったようなのですが、このロゴマークの無いマクダニエルキューは非常に数が少なく、スタッフ野田も見たことがありません。
前述の通りマクダニエルキューは私の好きなキューの1つでしたが、欲しいという知人がいれば惜しげもなく譲り渡していました。注文して3か月ほどで出来上がってくることがほとんどだったので、欲しくなったらまた注文すればいいと思っていたのです。
ところが突然彼は病死してしまい、注文することができなくなってしまいました。そのために彼の死後以来、マクダニエルキューを手にすることはなくなってしまいました。
もちろん、ディーラーの在庫にあるマクダニエルキューを買うことはできたのですが、いつも注文製作してもらっていたことを考えると、手を出す気になれませんでした。
そんなわけで現在スタッフ野田のコレクションにマクダニエル・キューはなく、手元に残っているマクダニエル製のものは、前回ご紹介したザンボッティのシャフト側ジョイントプロテクターだけとなってしまいました。
欲しいキューが手に入るかどうかは巡り合わせです。買うチャンスがあったのに見送ったら2度と手に入らなくて悔しい思いをしたことが何度もあるスタッフ野田は、買おうかどうしようか迷った際には基本的に買うことにしています。買ってする後悔より買わなかった後悔の方が大きいからです。
希少なキューにピンときたら迷わず「買い」をお勧めします。
キューショップジャパンには希少なキューもいろいろあります。