こんにちは、スタッフ野田です。
今回はセーフティについてお話したいと思います。
このブログでもたまに書いているのですが、スタッフ野田は難しい配置を技術と知識、そして運も使って取りきることにロマンを感じる、徹底したランアウト派です。
「不可能を可能にするショット」でご紹介しているショットの数々も、そんな気持ちから集められたものです。
しかし、かつて試合で優勝目指して切磋琢磨していた時には勝つためにセーフティの練習もしていました。1対1のトーナメントプレーでは、セーフティなしで試合に臨む事はこの上なく不利であることは間違いありません。
的球をポケットできる可能性が少ない(=相手にターンを渡してしまう可能性が高い)ときに、できるだけ難しい配置が相手に渡るように心掛けるというのは決して卑怯な戦い方ではなく、時には的球をポケットしにいくよりも勇気が必要な場合さえあります。
攻撃のための矛(ほこ)は勿論必要ですが、防御のための盾(たて)も勝つためには欠かせないのです。

まずはスタッフ野田の心に残っているセーフティの実戦例を一つご紹介したいと思います。
時は2010年3月、場所はスーパービリヤードエキスポの会場で、スタッフ野田はそこで行われた10ボールのプロトーナメントを観戦しました。
決勝戦はシェーン・バン・ボーニング対ジョナサン・パインガーの組み合わせだったのですが、その中ですばらしいセーフティの攻防が行なわれました。
ゲームは第1セットをパインガーが取り、スコア1対0の状態で第2セットの途中のものです。
配置は下図のとおりです。

台上の的球は⑧⑨⑩の3個で、撞き手はボーニングです。
手球を⑧の左側にポジションしたいところだったのですが、⑦からのポジション取りが難しかったために、ボーニングはしばらく考えた末⑦を入れて手球をこの位置にもってきました。
⑧はクッションに密着しており、左上コーナーにカットしたら手球は間違いなくスクラッチという配置です。
いったいどうするのかと観衆が見守る中、ボーニングはこの⑧でセーフティをするのですが、どんなセーフティをしたか想像できますか?
あなたならどうするか、ちょっと考えてみてください。

ボーニングが行なったのは、こんなセーフティです。

⑧の正面よりわずかに右側にゆっくり当てて、手球をサイドポケットの角に止めて隠すという、一歩間違えばおしまいという驚きのショットです。加減が強ければ手球がスクラッチしますし、弱ければ手球がサイドポケット内側のクッションに入らずにファールになってしまいます。
普段から練習していなければこんな場面で突然できるものではありません。
すばらしいセーフティに観衆から拍手が起こります。
しかし、スタッフ野田はこの後のパインガーのショットにもっと驚きました。
困ったパインガーはマッセショットの体勢をとっておどけてみせたりしましたが、彼が放ったショットは下図のようなものでした。

手球をワンクッションさせて、⑧がクッションに入るぎりぎりの力加減でコツンと当てたのです。単純といえば単純なショットですが、これは直前のボーニングのショットに勝るとも劣らぬほどの度胸と手球のコントロールが要求されるものです。⑧に届かなければ勿論ファールですし、強すぎたり薄く当たったりすれば、手球と⑧が離れてポケット可能な配置になってしまうという、恐ろしいほどデリケートな加減が要求されるショットです。
ボーニングのセーフティの時と同等以上の拍手がパインガーに送られます。
観衆の多くがこのショットがいかに難しいものかをよく理解していました。
この後、ボーニングは手球を⑧にかすらせて⑨の向こう側に運んで隠しました。

パインガーはこれをやすやすと当てて手球と⑧を遠く離し、ボーニングはこれを入れにいって失敗し、残り球をパインガーが取りきってスコアを2-0としました。
試合は結局ボーニングの勝利(=優勝)に終わるのですが、あまり有名とは言えないパインガーという選手の度胸と技量にはおそれいりました。ノミの心臓を持つスタッフ野田はファールが怖くてこんなショットはできません。きっと手球と⑧が遠く離れることを願って、強めに撞いてしまうでしょう。

さて、セーフティでは多くの場合、手球と同時に的球もコントロールすることが必要となります。つまり「的球の力加減」が要求されるのです。
通常のショットでは、的球はポケットされてテーブル上から消えてなくなるので的球がどこまで転がって停止するかということを考える必要はありません。
それを気にするのはコンビやキャノンの時くらいでしょう。
たとえばこんな配置を試してみてください。

手球をヘッドスポット上の的球に当てて、的球をできるだけフットスポットの近くに止めてください。ビリヤードテーブルが近くにある人は、続きを読む前に一度試してみてください。
どうでしたか? きっと多くの人は、的球が思ったよりも遠くへ行ってしまったと思います。フットクッションに当たってしまったという人も多いでしょう。
これは、いつも的球が狙った地点(ポケット)に必ず届く力加減で撞いているためで、当然ともいえる結果です。
最初のトライで1ポイント以内の距離に止められた人はセーフティの素質十分です。

もうひとつ、力加減を試す配置をご紹介しましょう。

フットスポットに置いた的球を手球でコーナーポケットに向かってまっすぐ動かすのですが、このときできるだけ少しずつ近づけます。
最初はフリーボールですが、その後はもちろん手球・的球に手を触れてはいけません。
また、手球・的球ともにクッションに入ってはいけません。
的球をポケットするまでに何回撞くことができたかを数えてください。慣れれば10回以上撞けますが、最初は5・6回という人も多いと思います。

おそらく練習としては最もつまらない部類に入ると思いますが、このように的球がどのあたりに止まるかを正確にコントロールする練習は、上手いセーフティをするために欠かすことができません。

次回は、セーフティに必要な要素の解説と、具体的な例を挙げて、どのようなセーフティが有効なのかについて考えてみたいと思います。

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