こんにちは、スタッフ野田です。
今回のお題は「チキン・ショット」です。
タイトルだけでは何のことかわかりませんね。
チキン(chicken)はニワトリとか鶏肉を意味しますが、臆病者を指す言葉でもあります。
壁や崖に向かって車やバイクを走らせて、先にブレーキをかけた方が負けという「チキン・ゲーム」というのをご存知の方がいらっしゃると思いますが、今回はそんなお話です。
では配置図をご覧ください。
       ↓

ゲームはナインボールで、あなたがブレイクして首尾よく3個の的球をポケットしたところです。
1番は丸見えですが、次の2番がちょっと難しい位置にあります。
さあ、あなたは1番をどのように取りますか?

きっと多くの方は、下図のXのあたりにポジションすることを考えられたでしょう。
       ↓ 

ここに手球をポジションできればマスワリ一丁上がりです。
そう、それは正解なのですが、問題はここにポジションすることが難しい点なのです。
2番から3番に簡単に出せるポジションの範囲が狭いというわけです。
そして最悪のケースは力加減が強すぎて、手球が9番の裏に行って2番が見えなくなってしまうことです。
       ↓

これを恐れて力加減を弱めにしてしまい、こんな結果になってしまうことが往々にしてあります。
       ↓

これが「チキン・ショット」です。
前述の「チキン・ゲーム」で言えば、壁にぶつかる・崖から落ちることを恐れて早めにブレーキをかけてしまうということです。
この名前はあるアメリカのプロプレーヤーがビリヤード雑誌の記事の中で使っていたもので、もちろん正式な名称ではありませんが、行き過ぎてしまうことを怖がって極度に安全策を取りすぎる事への警鐘として使用したものなのでしょう。

1番はかなり薄いカットショットなので力加減の調整は難しく、試合などで不慣れなテーブルでのプレーではなおさらです。
この図の位置ならまだ2番がカット可能なだけましですが、手球が大きく動くために次の3番へのポジションはかなり不安定なものになります。
もし2番がこれよりもっと薄くなったら取り切るためにはバンクショットするしかありません。
いずれにしてもこんな配置になったら取り切りの可能性は大幅に低くなります。

もうひとつ、例を挙げましょう。
同じくナインボールで1番から2番にポジションしたいという状況です。
      ↓

これも2番が見えれば一丁上がりという配置ですが、手球と1番はコーナーに一直線に並んでおり、しかも手球はクッションに密着して真上以外の撞点は撞けません。
      ↓

ひたすら中心を狙い、手球が後追い自殺しないギリギリの力加減で1番を入れるしかないのですが、スクラッチしたら相手に取り切られてしまうことを考えると思い切って撞くことができず、結局2番が見えないという結果になりがちです。
空クッション(前クッション)で2番を入れられたとしても手球は大きく動いてしまうので、3番に対して良いポジションを取ることは非常に難しいでしょう。

最悪の結果を避けることは必要ですが、それを恐れるあまりに結局手詰まりになってしまったということはビリヤード歴が少し長い方なら経験したことがあると思います。

さて、ではどうすればよいでしょうか?
「もしかして、これをうまくやる方法があるのか?」と、期待された方がいらっしゃったら、すみません、残念ながらうまい解決方法というのはなく、練習で力加減を調整できるようにするしかありません。
トーナメントなどで勝とうと思ったら、こういった状況の中でもある程度ポジションできるように普段から練習しておく必要があります。なぜなら有効なポジション範囲が狭いが、そこを狙うしか他に方法が無いというケースは実際のゲーム中でもよく起こるからです。
練習する際には目標とするポジションの範囲を自分の技量の許す限りできるだけ小さくして、その中に手球を止めるようにするといった方法が効果的です。
これはスタッフ野田の経験から言うのですが、例えば5cmの範囲内に手球を止める練習をしておけば、実戦で10cmの許容範囲内に止めることがある程度自信を持ってできるようになります。
また、ポジションに失敗した際の対処方法をどうするかを考えておくことも必要です。
最初の例で2番が薄すぎてカットできないような場合はバンクしかないと書きましたが、手球を殺して2番を長・短・長の3クッションでテーブルの反対側にもっていくというセーフティも考えられます。
このような対応策を事前に考えておけば加減の調整の判断材料となるだけでなく、ショットする際の不安も少なくなります。

このブログでは上達に役立つ色々な知識・情報をお伝えしていますが、力加減についてはいくら文章を読んでも実際に撞いて感覚で覚えなければ上達は望めません。
キューショップには撞点や手球・的球の接触点、そしてボールの動きがよく分かるカットショットボールが先日再入荷しました。こういったボールを使用すれば動きの違いがよく見えるので、上達に役立つと思います。


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