こんにちは、スタッフ野田です。
羅立文(ローリーウェン)といえば、ビリヤード界で知らない人はいないというくらいのトッププロであることは、今更言うまでもありません。彼は台湾出身なのですが、現在は日本のプレーヤーとして世界中を股にかけて活躍しています。メジャートーナメントで数々の優勝経験があり、先日も関東オープンで優勝したことが記憶に新しいところです。
さて、そんな彼の得意とするゲームが14-1です。
日本では初心者の多くが9ボールで練習しますが、台湾では14-1で基礎的な技術を磨いて上達した人が多いのです。そして羅プロもその一人であり、彼の無類の強さの秘密は14-1で培われた土台の上にあると私は思っています。
9・10ボールは運(ツキ)を除けば、的球をポケットする力(シュート力&ポジション力)が勝敗を決する要素の大部分を占めると言ってもいいでしょう。テーブル上で狙える的球が1個しかないために、何ができるかという選択肢が極度に限定され、同じ配置なら誰がやっても同じような取り方になってしまいます。
しかし14-1はどの的球を狙ってもよいため、上級者でも人によって取り方がまるで違うことが珍しくありません。勿論シュート力が重要なのは変わらないのですが、ポジション力はより高い精度が要求され、取り切りの組み立て方や的球の塊(クラスター)の崩し方といった知識の部分が大きくものをいうゲームなのです。
フルブレイクから始まるゲームとは違い、ブレイクボールを入れながらラックを割る14-1では1ラック14個を取り切って次のラックにつなげることは容易ではありません。1ラック取り切るために2回・3回とブレイクが必要になることも日常茶飯事です。いかに難しいかは実際にプレーしていただければお分かりいただけます。
羅プロはこれを当たり前のように取り続けるのですが、普通に彼のプレーを見ていても一体何がすごいのかが分かりづらいので、1球ずつ次にどうするか、何を考えてプレーしているかを説明してもらいながら1ラックをプレーしてもらいました。
それではまずその動画をご覧ください。

ご覧いただいて分かる通り、とんでもなく難しいというショットはありません。中級レベルのシュート力でも十分対応できるようなショットがほとんどです。
これはつまり、14-1なら知識と経験があればシュート力が上回る相手とも対等に戦える可能性が高いということです。
では、今回の取り切りを分析してみましょう。
今回は最初のブレイクでほぼラックが粉々になってしまったので、あまりクラスターを割りに行くということはありませんが、14個もの的球がフット側半分に散らばれば、いろいろ混雑したエリアが必ずでてきます。

最初は左端にある2番なのですが、この時手球を9・13番にぶつけています。これは2番が薄くて手球が大きく動くことが不可避だったので、最もトラブルになりにくそうなところにぶつけにいったのだそうです。9・13番にどのように当たっても次に1・7・10・12・6番のどれかが狙えるという考えです。
逆ヒネリで手球をフットレールに落として的球に当たるのを防ぐことは一応可能なのですが、的球を入れそこなったり、力加減が合わなかったりするのでこうしたそうです。
次に狙うのは前述のどれでもなく、9番になるのですが、これは1球撞くごとに変わる状況を冷静に判断した結果で、直前に考えていた予定を変更することはよくあるのです。

7球入れたところの配置です。
ブレイクボールはフットスポットの右側にある14番に決めています。トラブルはありませんが、右コーナー近くにある6番を処理して3番の道を空けたいところです。
ここで10番を入れて手球を13番に当てにいきます。当てた理由は手球をそこに止めて次に6番か7番を狙うためですが、これはなかなか度胸のいるショットです。13番に薄目に当たると6番は狙えず7番は非常に薄い配置になってしまう危険があります。そのため力加減を抑えて13番にぎりぎり当たるようなショットをしています。

次に7番から11番に出したのですが、ちょっと引きを入れすぎて11番が薄くなってしまいました。

 


11番の次に13番を11番と同じコーナーに狙う手もありましたが、手球を殺せると判断した羅プロは、右ヒネリを効かせて11番をスローショットで入れました。これもなかなかスリリングなショットです。コンディションをつかんでいないテーブルでは、あまり用いない方が良いと羅プロ自身も言っていました。11番から8番に出して、その後6・13・3と取っていく方法も考えられます。

そして終盤はさすがの手球コントロールで、不安なくキーボールとなる8番にたどり着きます。
ただしこの配置、何でもないようですが力加減が難しいショットです。

ブレイクボール14番が薄くなりすぎれば入れるのが難しくなり、厚すぎればラックを割るために強く撞かなければなりません。人によって好みがありますが、厚みが1/2となる30度くらいの角度が最も失敗が少ないと思います。ストップショットでそうなるようなキーボールがあればよいのですが、世の中そう甘くはありません。このような配置で力加減で手球をコントロールしなければならないこともしばしばです。ここが14-1の最も難しいところかもしれません。

14-1で最も重要なショットはブレイクショットであり、最もやってはいけない失敗はブレイクボールをミスしてラックを割ってしまうことなのです。

14-1の知識と経験が9ボールなどの他のゲームに活かせることは多くの人が認めるところであり、毎回テーブル上でパズルを解くような楽しみがこのゲームにはあります。

このシリーズは続けていく予定ですので、お楽しみに。

 

羅立文プロも使用しているヴォルツーリ・ケースはこちら

 

 

 

 

 

 

 

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