こんにちは、スタッフ野田です。
今回はブレイクキューについて、その変遷や機能などについてご紹介したいと思います。
ストレートプールやワンポケットのように、オープニングでラックをハデに散らすことのないゲームではブレイクキューは必要ないものですが、その他の多くのゲームではブレイクでできるだけ的球を散らしてポケット出来る可能性を大きくするためにブレイクキューは必須のものです。
ブレイクショットは通常のショットより強い力で撞くために、キューには大きな負荷がかかります。そのためブレイクでキューを折ることもあります。(スタッフ野田も目撃したことがあります)
また、キュー先をラシャに強くこすりつけることが多いので、摩擦熱で先角が溶けたりすることがありました。
昔はそういった破損に備えてハギもインレイもない安価なキューや、使い古したプレー用キューをブレイクに流用することが多かったのですが、ブレイクの重要性がクローズアップされてくると、ブレイク専用のキューが製品化されるようになりました。
しかし当初はメーカー側もどのようなキューがブレイクに最適なのか手探り状態で、とりあえず強いショットに耐えるように太くて丈夫に作っただけのものが多かったようです。
また、通常より少し重いものがブレイクに適しているという説が流布して、ウェイトボルトを重いものに交換する人がたくさんいました。

これは20年ほど前に発売されていた、いろいろなブレイクキューです。
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また、グラファイト(グラスファイバー)のキューがブレイクキューとして人気がある時代がありました。
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これはキューテック製ですが、他のメーカーからも同じようなキューが発売されていました。
グラファイトシャフトの強靭なしなりが強いパワーを生むというのが人気の理由でしたが、手球がジャンプして飛び出しやすいという欠点を持っていました。
これとは正反対にシャフトのしなりをできるだけ抑えて、キューの運動エネルギーをできるだけダイレクトに手球に伝えようと、シャフトをチタニウムで作ったブレイクキューがありました。
マクダモットとシルバーフォックスで製品化されましたが、当時の値段で10万円近いというあまりに高い価格のためにあっという間に市場から姿を消しました。


シルバーフォックスのチタニウム・ブレイクキュー
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このキューは、マイフェイバリットキューでも紹介しています。

チタニウムブレイクキューの記事はこちら

全体の重さは22オンスほどあり、通常のシャフトが重くても120グラムぐらいなのにこのキューのシャフトは150グラム近くあります。シャフトとのバランスを取るためにバット側も重くする必要があり、全体がこんなに重くなっているのです。(それでもかなり前バランスですが)
このキューはスタッフ野田のゲテモノコレクションの一つなのですが、ブログを書くために久しぶりに引っ張り出して振ってみると、思いのほかいい感じだったりします。

その後、タップと先角が樹脂で一体成型されたスレッジハンマー・キューが登場して、一世を風靡しました。
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   このキューもマイフェイバリットキューで紹介しています。

スレッジハンマーキューの記事はこちら

このキューはマイク・ガリアッシーというキューメーカーが製作・販売開始したのですが、実はその当時の日本では樹脂タップを禁止(もちろん先角一体型タップも禁止)していました。
しかし世界中でスレッジハンマーを使う人が増え、日本だけダメというわけにもいかず解禁になったという経緯があります。
なお、特許を取得している旨の表記がバットキャップにありますが、樹脂製タップや先角一体型というアイディアはスレッジハンマーが最初ではなく、ジャンプキューの製品競争が激しかった1995年頃にはすでに商品化されていました。
ちなみにブレイク・ジャンプ用の硬いタップのほかに、プレー用の柔らかい樹脂タップも発売されていましたが、あまり実用的ではありませんでした。スタッフ野田も使ったことがあり、変形しなくていいなと思っていたのですが、ある日ショットした瞬間にバラバラに砕けてしまいました。

そして時代は下り、革命的なブレイクキューが登場します。それがプレデターBKキューです。
見越しが少ない314シャフトの利点を利用し、多少撞点がズレても狙いがそれほど狂わず、また314シャフトの「手球がジャンプしにくい」という性質も加わって、優れたブレイクキューとなったのです。

    プレデター社が製作したBKキューの広告
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 BKキューの日本での広告です。
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実はBKキューが発売される以前に多くの人が314シャフトがブレイクに適していることに気づいており、実際ブレイクに使用している人もいました。しかし、314シャフトは先角の強度が少ないため、強いブレイクには耐えられず壊れてしまうことが多かったのです。
そこでプレデター社は通常の314シャフト用より強度を増した先角をBK用に開発しました。
それを知った情報通のプレイヤーの中には、自分の持つ314シャフトの先角をBK用のものに交換してブレイクに使用する人もいました。
この初代BKキューには標準装備として汎用の革製タップ「プロフェッショナル」が使用されていたのですが、その後樹脂製のタップを装備したBK2を発売し、さらにBK3、BKラッシュと進化していきます。

樹脂タップの硬い感触が嫌いという方もいらっしゃいますが、トーナメントプレイヤーは少しでもゲームに勝つ可能性を高められるのであればそんなことを言っていられません。
樹脂タップは手球との摩擦力が少ないため、手球に余計な回転がかかりにくくなります。
また、革タップではインパクトの際にタップが変形するのに運動エネルギーが使われてしまいますが、樹脂ではそれがほとんどありません。ただし、果たしてその違いがゲームに影響するほどのものかどうかは不明ですが・・・
革タップほど変形・磨耗しないというのもメリットです。ミスキューしても樹脂タップに大きなダメージが及ぶことはあまりありません。

そして現在はカーボンファイバーのシャフトを装備したブレイクキューが各社から製品化されて人気となっています。木製シャフトのキューよりお値段は高めですが、パワー、手球のコントロール、そして丈夫さなど、多くのメリットがあります。

昔と違って、現在は軽めのキューでキュースピードを上げたブレイクを心がける人が多いようです。
(運動エネルギー)=(質量)×(速度の2乗)ですから、1%重くするより1%スピードを上げたほうがパワーが上がることになります。たとえばキューの重さを5%軽くしてもそれによりスピードが3%以上早くなれば、数字的には運動エネルギーは増加することになります。
重さを取るかスピードを取るかは人それぞれですが、もう一つ忘れてはならない要素があります。
それは「振りやすさ」です。ストロークすると、キューが勝手に前へ出て行くような感覚を経験したことはありませんか? これは主にキューのバランスポイント(重心)によるところが大きいのですが、シャフトのテーパーや、同じバランスでもキューのどこに重い部品が使ってあるかによっても違ってきますし、使う人の体格などによって感じ方も異なります。
同じモデルの同じ重さのキューでも振りやすさが異なることは珍しくありません。
ブレイクキューを購入する際に試し撞きすることはできませんが、可能なら現物を手にしてストロークした感触を確かめて購入できればベストです。

 キューショップジャパンでは多くの種類のブレイクキューを取り扱っています。
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各種ブレイクキューはこちら

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