お客様から投稿いただいたジナキューです。
いわゆるセカンド・エディションのジナキューで17bというモデル名がついています。ファースト・エディションの際に製作された親子8剣デザインを発展させたものです。
製作者アーニー・ギュテレスは1961年からキュー製作を続けていましたが、他の仕事に興味を移して1973年頃にキュー製作をやめてしまいました。
しかし1988年、ロサンゼルス郊外に工房を構えて、当時最新のコンピューター制御のNC旋盤を駆使して新たなジナキューの製作を開始し、現在に至ります。
そのためジナキューは1961~1973年に製作されたものをファースト・エディション、1988年以降をセカンド・エディションと呼んでいます。当然ながらセカンドの方が高品質なのですが、伝統的な製作手法によるファースト・エディションのジナキューを求めるコレクターも多く存在します。
20年近く前のものですが、工房内の様子です。
NC旋盤の制御盤が見えます。
番犬がいますね。工房はアーニーの自宅とは全く別の場所にあり、夜間は無人になるので、昔から番犬が飼われています。1995年にスタッフ野田が初めて工房を訪問した際にはドーベルマンのロッキーが、2016年に訪問した際にはロットワイラーのダッチェスが店番をしていました。
ダッチェスです。
前掲の写真の犬と同じような位置に座っています。
初対面のスタッフ野田と戯れるほど人懐っこかったのですが、夜になると性格が一変して番犬モードになるそうです。
工房を囲むフェンス越しにちょっかいを出してきた通行人に噛みついて、1万ドル払わされたよとアーニーは笑いながら話していました。
フォアアームです。
バーズアイメイプルに黒檀の親子8剣デザインです。
短い方のハギにはスピアヘッドとドットのインレイ、長い方にはスピアとロゼッタと呼ばれる花模様のインレイが施されています。
ドットインレイはどちらも貝のインレイなのですが、短いハギの方はマザーオブパール、ロゼッタの中央にあるドットはアバロニが使われています。
バットスリーブです。
黒檀のベースにハギの中に入れられたインレイとマッチングデザインが施されています。
このデザインは人気があるので、材質が異なるものや、インレイのや配置を少し変えたバージョンなどが存在しますが、このキューは17bモデルの基本スペックで作られています。
ジョイントです。
ファースト・エディションから一貫して使用されている、5/16-18山のパイロテッドジョイントです。
フォアアームに手書きサインがあるのが分かります。
リングワークは純銀と白素材が交互に入ったステッチリングとなっています。
ジョイントカラーの内側に刻印されたロゴマークとシリアルナンバーです。ジョイントピンで隠れていますが、上部に「Ginacue」の刻印があります。ナンバーの先頭2桁が「06」となっており、2006年に製作されたことを示します。ただ、この刻印はジョイントカラーが部品の段階(キューに取り付けられる前の段階)で入れられるため、例えば2005年末ごろに製作されたキューに「06」のシリアルが入ったジョイントカラーが使われてしまうといったことがあるようです。
なお、ジョイントカラーの材質変更のために最近のジナキューにはこの刻印は入っていません。