こんにちは、スタッフ野田です。
このブログで以前に3個先を考えてポジションするという取り切りのための構想のお話をしましたが、今回は次の的球に対してよいポジションを取るための具体的な解説をしたいと思います。
ある程度的球を安定してポケットできるようになると、的球を入れながら手球のコントロールにも心を配る余裕がでてきます。
手球を目的の場所にもっていくには力加減が最も重要なのですが、これは厚みと同様、実際に撞いて体で覚えてもらうしかありません。
そしてやはり厚みと同様に、人間のすることですから完璧な加減でいつも手球を思い通りの場所にポジションすることなどできません。バンキングで何回やってもクッションにフローズンするなどというのはマンガの世界だけです。
それゆえに力加減の誤差を補うためにポジションを取る方法に知識と経験が必要となってきます。つまり、ポジションしたい場所に辿り着くコースのとり方で成功率がまるで違ってくるのです。

それでは例題の配置図をご覧ください。

ナインボールで残りは8・9番の2個だけの配置でフリーボールです。
「いただき!」という配置ですね。
これをどのように取るかについて、考えてみましょう。

まず、9番をポケットしやすい位置はどこか考えます。この図のグレーの範囲あたりですね。

要するに9番でフリーボールだったらどこに手球を置くかということです。
フリが少なく距離も遠くないとなると、ここらあたりでしょう。
なお、後述しますが上級者はポジション範囲をこのような円形でイメージすることはあまりありません。
さて、ここへどうやって手球を持ってくるかですが、幾つか方法が考えられます。
Aコースは直引きです。クッションを使わず直接ポジションします。

 

Bコースは、左フリにして長クッションにワンクッション入れる方法です。

Cコースは、右フリにして短・長クッションと2クッション入れる方法です。

他にも方法はありますが、多くの人が考えるのはこの3つでしょう。
このうちAを選ぶ人はほとんどいないと思います。こんな長距離の引き加減を調整することが困難なことは明らかだからです。実際に試していただければその難しさがお分かりいただけるでしょう。
したがってこの方法は候補から除外するとして、BとCのどちらが良いでしょうか。

手球を動かす距離はBの方が少ないのでBを選ぶという人がいるかもしれませんね。
このような時、「ライン」と「ゾーン」の2つを考えると、有効なポジション方法を選択する助けになります。
この例題では9番を楽に入れられるのは明らかに右下のコーナーポケットです。
したがって9番をポケットするシュートラインはこうなります。

もし手球が動くコースをこのライン上に乗せることができれば、少なくとも厚みが薄くなって苦労する事はないわけです。
逆にこのラインを直角に横切るように手球を走らせると、良いポジションを得るための力加減の許容範囲が大変少なくなってしまいます。
このことを考えれば、最終的にポジション範囲へ向かう角度が最も9番のシュートラインと平行に近いCコースを選択すべきであることがわかります。
BコースとCコースの最終進路とそのポジション範囲です。

それぞれのポジション範囲を四角形のグレーで示しています。
2つの四角形は同じ大きさで、9番のシュートラインが中心にくるようにしています。
これで力加減の誤差が同じだった場合にコースの違いによる9番へのポジションがどうなるかを見ることができます。
Bコースではグレーの範囲の端に手球が止まると9番を入れるのが難しくなるのに対して、Cコースではたとえそうなってもそれほど難しくならないことがお分かりになると思います。
このように、シュートラインに沿った場合と直交する場合とでは、力加減の許容範囲が大きく違ってきます。これが「ライン」の考え方です。
わざわざ2クッションさせてポジションする意味は、このように力加減の許容範囲が大きいコースを選んで、確実に9番をポケットするためなのです。
スタッフ野田も初心者の頃、上級者が手球をクッションに何度も入れてポジションするのを見て、なぜ最短距離で手球を次の的球に近づけないのだろうと疑問に思っていましたが、ちゃんと理由があったわけです。

もう一つの「ゾーン」の考え方をご説明しましょう。
これは厚みが左右とも1/2くらいの範囲を示したものです。これくらいの範囲なら的球を確実に入れられるというOKゾーンというわけです。

このようにポジションのOKゾーンは扇形をしていることが多く、的球から離れるほど範囲が広くなっていきます。中・上級者はこのことを認識してポジションをしています。
楽にポケットするために手球を的球に近づけたいのはやまやまですが、近づけるほど良いポジションの範囲が狭くなってしまいます。これが「ゾーン」の考え方です。
次の的球へのポジション範囲が狭いときなどに、この考え方が有効となります。
下図は1番から2番に出す配置です。

この配置では1番からワンクッションで2番に出すしかありませんが、順ヒネリ(右ヒネリ)で手球を2番に近づけようとすると、ポジション範囲が狭くなって2番が見えなくなる可能性が高まります。逆ヒネリをかけておけば、距離は遠くなりますが安全に2番に出すことができます。遠くなっても撞きづらくても見えなくなるよりよほどマシです。
どちらのコースを取るかによって力加減の許容範囲が2倍ほども違うことにご注目ください。
シュートラインに沿ってOKゾーンを狙うのが最良の方法ですが、どうしてもラインをクロスするコースしか取れない場合は、的球に対して遠めの位置を狙って、OKゾーンの幅が広いところにポジションします。

ちょっと余談ですが、日本では9フィートテーブルがほとんどなのですが、アメリカではバーテーブルと呼ばれる7フィートテーブルも大変人気があり、APAなどの多くのアマチュアトーナメントが7フィートで行われています。

ボールの大きさは同じでテーブルの面積が9フィートに比べて6割ぐらいしかない7フィートテーブルでは、的球が隠れて見えなくなる可能性が高くなるため、遠くても広いOKゾーンを目指してポジションすることがより重要になってきます。

JPAでラスベガスを目指している方、あるいはプレミアセブンで虎視眈々と上位入賞を狙っている方はこの点を忘れないようにしてもらえば失敗が少なくなると思います。

なお、特定の方向へのフリが必要な場合はゾーンの大きさが半減するので、より難しくなります。また、当然ながらこのゾーンの大きさはプレーヤーのシュート力に依存します。遠くても薄くても的球が入れられる強いシュート力を持つ人ほどOKゾーンも大きくなるわけです。

その意味ではシュート力とポジション力は同時に向上していくものだと言えます。

ポジションの方法が複数選べる場合は、「ライン」と「ゾーン」を考えて選択すれば、失敗が少なくなりますよ。

 

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