カーセンブロック・キューです。
鬼才と呼ばれるデビッド・ポール・カーセンブロックの作品です。
年間製作本数が数本程度という寡作であることが知られていますが、特に最近は高齢であることと、手の込んだデザインのキューしか作っていないことから、さらに製作本数が減っているようです。
フォアアームです。
黒檀のバットにメイプルで長短のハギが3本ずつ入った親子6剣デザインです。
長剣の途中が途切れたようになったデザインが特徴的です。
このキューでは途切れた部分にオーバルインレイが入っていますが、単純にハギが分割されたように見えるものもあり、サウスウエストでも同様の物があります。カーセンブロックはサウスウエストの製作者ジェリー・フランクリンにキュー製作を教えたことが知られていますが、こういったデザイン面でも強く影響を与えています。
バットスリーブです。
黒檀にメイプルでフォアアームの長剣中央部をクローズアップしたようなデザインです。
オーバルインレイはフォアアームの短剣の位置に対応して入っているところが面白いですね。おそらく多くのキューメーカーは、フォアアームとバットスリーブでインレイの位置を合わせる、つまりこのオーバルインレイを長剣の下に位置するところに入れることを考えるでしょう。鬼才の考えることは常人には理解できないといったところでしょうか。
それでもフォアアームとバットスリーブがマッチした優れたデザインだと思います。
ジョイントです。
サウスウエストと同様の（サウスウエストの方がカーセンに似ていると言うべきですが）真鍮製の太いジョイントピンを使用したフラットフェイスジョイントです。
カーセンブロックは一貫してこのタイプのジョイントを使用していますが、ネジ山は独自のものの他に、サウスウエストやオメガといった過去に関りがあったキューメーカーの仕様のものがあります。
より多くの人に使ってもらおうという概念は全くなく、分かる人だけに気に入ってもらえばよいという孤高のキュー、それがカーセンブロックなのかもしれません。
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