アメリカの歴史あるキューメーカーの1つ、メウチです。
アメリカ製の3大量産キューメーカーといえば、マクダモット、バイキング、そしてこのメウチを挙げる方が多いと思います。
創業者ロバート・メウチがキュー製作を開始したのが1975年ですので、半世紀近い歴史があります。
このキューは1980年代後半に製作・販売された、メウチのプロモデルです。
当時このプロモデルには、ローリー・ジョン・ジョーンズ、デビッド・ハワード、ジム・レンピなどのシリーズがありましたが、このキューはジム・レンピのシリーズの1つです。
ジム・レンピです。
「キング・ジェームス」のニックネームを持ち、1970-80年代を中心に11の世界タイトルをとるなど大活躍したプロプレーヤーで、ビリヤードの殿堂入りもしています。
何度か来日したこともあり、スタッフ野田も話をしてサインをもらったりしたことがあります。
これは当時のメウチのカタログのジム・レンピモデルのページです。
上から4番目にあるJR-5という型番が付いたキューが今回ご紹介するものです。
一番下のキュー尻に王冠がインレイされたJR-7というモデルには、象牙や宝石を使用して製作された特別製のモデルがあり、メウチのカタログの表紙を飾っていたこともありました。
フォアアームです。
メイプルに黒檀の4剣デザインです。
ハギの中にはスピア形の大きなインレイが入り、このキューの大きなデザイン上のポイントとなっています。
グリップ部分です。
メウチ独特の、リネングリップ巻きの上に塗装をかけたもので、これを好む人も多いようです。
フォアアームおよびバットスリーブとの間の段差がなくなることもメリットですね。
リネンが塗料を吸い込んでしまうので、塗装には通常よりたくさんの塗料が必要になるようです。
バットスリーブです。
黒のバットキャップに「JIMMY REMPE BY MEUCCI」の文字があります。
当時のメウチキューは、プロモデル以外の場合は「MEUCCI ORIGINALS」などの表記がありました。
現在のメウチキューには「ビッグM」と呼ばれるMの文字がロゴマークとしてバットキャップに表示されています。
バットスリーブのアップです。
ベースになっているのは薄い銘木板を積層にしているものであることが分かります。
これによる構造的・機能的なメリットはなさそうですが、デザインのアイディアとして採用されたものなのだと思います。
フォアアームのハギの中にあるものとマッチングさせたデザインのインレイが入っています。
ジョイントです。
メウチはこの時代から現在まで一貫して5/16-18山のフラットインプレックスジョイントを使い続けています。
従ってメウチ同士ならどのシャフトでも使用可能なのですが、シャフト側のカラーのデザインが個々のモデル専用になっているため、デザインがまったく合わなくなってしまいます。
前出のカタログの写真を見ていただければ分かる通り、同じジム・レンピのシリーズでもシャフトのカラーのデザインは5種類ともすべて異なったものになっています。これもメーカーの拘りなのでしょう。
キューショップにもメウチキューを販売しております。
独特のストレート部分が長い細めのシャフトにより、ストロークしやすく押し引きが効率的にかけられるという評判があります。