ジョイントピンについて

B!

こんにちは、スタッフ野田です。

先日ジョイントの種類をご紹介しましたが、今回はジョイントピンそのものについてお話したいと思います。
通常私たちが目にするのは、ジョイントピンの表面に出ているねじ山部分だけですが、バット内部に埋もれている部分がどうなっているか、見てみたいと思いませんか?(思っていない人は、今から思ってください)
というわけで、幾つかジョイントピンの現物をご紹介しましょう。
まずはこれ、ユニロック・ジョイントです。

後ろにある青い箱は、ジョイントピンを入れるユニロック社の純正パッケージです。
金色の部品はシャフト側に使用するブラス・インサート(雌ネジ)です。
2回転半ですばやく結合・分離ができるユニロックは、登場した時に一世を風靡し、多くのメーカーが採用しました。有名どころでは、デール・ペリーやダン・ビルト(ダン・ディショウ)、ルカシーなどですが、開発に関わったビル・ストラウドが作るジョスウエスト・キューにはあまりユニロックのものがないのが不思議です。

珍しいユニロックジョイント仕様のジョスウエスト・キュー

プレデター社もBKキューをはじめとして、長い間ユニロックジョイントを使っています。
これは314シャフトといろいろなジョイントを組み合わせてロボットを使ってテストした結果、最も良い結果が出たのがユニロックだったためです。
着脱の早さから、ブレイク/ジャンプキューのバット分割ジョイントに採用される場合もあります。

ユニロックによる分割バットを持つベンダーのブレイク/ジャンプキュー

雑誌に掲載されたユニロックの広告です。

ジョイントピンの広告を出すというのも、なかなか凄いことだと思います。買うのはキューメーカーしかいないのに・・・

 

こちらはラジアルピンです。

パッケージがユニロックのものと似ている? そう、これもユニロック社の製品なのです。
10山の木ネジのネジ山部分を滑らかにしたようなピンです。木ネジは雌ネジをシャフト側の木に直接彫りこむため、金属の雄ネジで雌ネジを傷めてしまう危険があります。ねじ山をなめらかな曲線にすることで、そのような危険を回避しています。

これはアルミ合金製ですが、ステンレスや真鍮、チタンなどもあります。

ラジアルピンの雑誌広告も出されています。

ご覧の通り、ユニロック社の製品であることが分かります。

大変人気のあるジョイントピンで、多くのメーカーが採用しています。

 

次にタッド・キューが使用している18山のジョイントピンをご紹介します。

タッド氏の工房を訪れた際にもらってきたものです。つまり純正のタッドキュー用ジョイントピンです。
18山のネジ棒を切っただけのような形をしていますが、右側のバットに埋め込まれる部分には、接着剤が入り込む縦の切り込みがあります。また、何か熱処理をしたような変色が見られます。

 

ベンダーの使用する14山のジョイントピンです
前述のブレイク/ジャンプキューでも使用しています。

14山といっても、5/16-14のパイロテッドではなく、ベンダー特有の3/8-14フラットフェイスジョイントです。「5/16」とか「3/8」というのがネジの直径(インチ)を表し、それに続く「14」などの数字が1インチあたりのネジ山の数を表します。単純に14山と言っても、このように直径が違う場合があるわけです。


ピンの周囲に「M.J.BENDER ALASKA」と刻印されています。
私は最初、金色をしているのは金メッキだと思ったのですが、実はこれはチタニウムにニトロ処理したコーティングなのです。
ただ、コストの問題からベンダーは現在もうこのような処理をしたピンは使用していません。
マイケル・ベンダーから、これについての説明をしてもらった文面です。

1998年のFAXです。感熱紙だったので経年変化による変色が起こっています。
この頃はまだ一般にメールやインターネットなどは普及しておらず、こんなFAXでのやりとりが主流でした。

これは非常に珍しい、コグノセンティ製のチタニウムピンです

コグノセンティといえば、G10エポキシ樹脂製のジョイントピンがトレードマークのようになっていますが、初期の頃はこのようなチタニウム製のピンを使っていたのです。
形状はG10のものと全く同じでシャフトは互換性があります。
ピンの頭には「Cognoscenti JG」の刻印があります。

JGは製作者ジョー・ゴールドのイニシャルです。
私はこういうメーカー名などをあしらったジョイントピンが好きです。

メーカーの個性を表現する手段としてジョイントピンを利用する例は、他にもいろいろあります。

ジョイントピンにロゴを入れるメーカーとしては、サウスウエストが有名ですね。

ご存知、サウスウエストのサボテン・マークが見えます。反対側には年号とシリアルナンバーが入っています。

ただし、これが入っているのは1993年以降のもので、それ以前のキューには何も入っていません。また、シリアルナンバーは毎年リセットされるのですが、1番から始まるわけではなく、300番とか400番から採番されています。

それより小さい数字は特別製のキューのためにとってあるのだそうです。

サウスウエストの工房を訪れた際にジョイントピンが1本欲しいと製作者ローリー・フランクリンにお願いしたのですが、コピーされるからダメと言われてしまいました。

 

ピンの頭に別のピースをつけて、それにロゴマークを刻印したビル・シック

G10のピンの頭に rc3 のロゴとシリアルナンバーを入れたリチャード・チュディ

ジョイントピンにシリアルナンバーを入れるのは良いアイディアだと思いますが、エポキシ樹脂の場合は折れることがあり(そのおかげでバットが折れずに済むのですが)、そうなるとナンバーも変わってしまうのではないかとちょっと心配です。

この他にも、拡大鏡を使わなければ見えないほど小さな文字でメーカー名をジョイントピンに刻むジョン・ショウマンなど、バラエティに富んでいて面白いです。

でもキューを使う側としては、全部のメーカーが同じジョイントにしてくれればシャフトで悩まなくて済むのにとも思います。
以上、数多いジョイントピンの一部をご紹介しました。

 

前回もご紹介しましたが、ジョイントプロテクター(ジョイントキャップ)はネジ山別にあるのはもちろん、メーカーの拘りが感じられるロゴ付きのものや銘木製のものまでいろいろあります。

大切なあなたのキューの心臓部を守るジョイントプロテクター、お持ちでない方はぜひご検討ください。

 

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